オールオン4(All-on-4)とは
オールオン4(All-on-4)とは、上顎または下顎の歯がほとんど残っていない、あるいはすでに歯を失っている方を対象としたインプラント治療法です。わずか4本のインプラントで片顎すべての人工歯を支えることが最大の特徴です。「All Teeth on Four Implants(4本のインプラントで全ての歯を支える)」という意味から名付けられ、固定式の人工歯をその日のうちに装着できる場合もある革新的な治療法として世界的に広く行われています。

わずか4本のインプラントで片顎すべての人工歯を支えます
健康な成人の場合、親知らずを除いて上下それぞれ14本、合計28本の歯があります。通常のインプラント治療では、失った歯の本数に応じて複数本のインプラントを埋入するため、本数が増えるほど治療期間が長くなり、費用も高額になる傾向があります。一方、オールオン4では、片顎あたり12本前後の人工歯を4本のインプラントで支える設計となっており、治療期間の短縮や費用の軽減が期待できます。そのため、身体的・経済的負担を抑えながら、噛む機能や見た目を大きく改善できる治療法として注目されています。
従来のインプラントとの違い
項目 | 従来のインプラント | オールオン4 |
|---|---|---|
ジルコニア製インプラント | チタン製と異なり金属アレルギーの心配が少ない素材で作られています。 | オールオン4によるジルコニア製使用は技術的に難しく現状は限られています。 |
ミニインプラント | 通常の大きさのインプラントよりも細くて短いですが耐久性は劣ります。 | オールオン4と比べるとミニインプラントは少数埋入で簡単ですが、全顎治療には向きません。 |
即時荷重インプラント | 通常は治癒期間を置きますが即時荷重は手術後すぐに仮歯を装着します。 | オールオン4は即時荷重施術が標準的で、早期の咀嚼回復を重視します。 |
オールオン4基本モデル | 部分的に複数のインプラントを植える方法ですが、全顎を支えるには複数本必要です。 | 4本のインプラントで全ての歯を固定し、短期間での回復が特徴です。 |
単純な従来型インプラント | 一本ずつ植えるタイプのインプラントで、骨に埋め込んで自然な咬合を回復します。 | オールオン4は4本のインプラントで全顎の歯を支える方法で、単純な従来型とは異なります。 |
インプラントの本数 | 6~10本程度 | 原則4本 |
治療期間 | 6ヶ月~2年 | 即日仮歯装着(最短1日) |
骨造成の必要性 | 高いケースが多い | 不要な場合が多い |
費用 | 本数分加算 | 本数が少なく費用効率が良い |
対象 | 健康な歯が残っている人 | 歯がほぼ無い、歯周病重度の人 |
上記のように、従来のインプラント治療では治療期間が6ヵ月から2年程度かかることが一般的です。これは、インプラントが骨と結合するまでの治癒期間や、必要に応じて骨造成(骨を増やす処置)を行うためです。
一方、オールオン4では条件が整えば抜歯と同日にインプラントを埋入し、固定式の仮歯を装着することが可能です。そのため、見た目や咀嚼機能を早期に回復できる点が大きな特徴です。
また従来のインプラント治療では骨量が不足している場合、骨造成(GBRやサイナスリフトなど)が必要になることが多く、治療期間や費用の増加につながるケースがありました。オールオン4では、後方のインプラントを斜めに埋入することで、より硬く安定した顎骨を活用できる設計となっており、骨造成を行わずに治療できる場合が多いのも特徴です。
この治療コンセプトは1990年代にポルトガルのパウロ・マロ医師によって確立され、現在では世界的に広く行われている実績ある治療法です。
オールオン4に向いている方
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多くの歯が抜けている、または抜歯が必要と言われている
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重度の歯周病で自分の歯の保存が難しい
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入れ歯に不満がある(噛めない・外れやすい・痛い・見た目が気になる)
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骨が痩せていて従来のインプラントは難しいと診断された
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発音や咀嚼機能をしっかり回復させたい
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口元の見た目や歯並びを根本的に改善したい
従来のインプラント治療は、失った歯のみを補う方法です。そのため、残っている歯との色・形・バランスを調和させる必要があります。
一方、オールオン4では歯列全体を人工歯で再構築するため、歯並び・歯の形・色調をトータルで設計できます。
その結果、バランスの取れた美しい口元を実現しやすいという特徴があります。
また、まだ歯が数本残っていたとしても、「神経の治療(根管治療)が必要」「再治療を繰り返している」「重度の歯周病が進行している」といったケースでは、個別に治療を続けるよりも、オールオン4で包括的に再建した方が治療期間を短縮できる場合があります。口腔内の状態によっては、長期的に見ると治療費を抑えられるケースもあります。
ただし、すべての方にオールオン4が適しているわけではありません。
上顎には「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる鼻の横の空洞があり、通常のインプラント治療ではこの空洞を避ける必要があります。オールオン4では後方のインプラントを斜めに埋入することで、上顎洞を回避しながら安定した顎骨を活用できる設計になっています。
そのため、従来の方法では難しかった骨量が限られている症例でも対応できるケースが多いのが特徴です。
しかし、上顎洞の形態や骨の状態によっては、4本だけでは十分な安定が得られない場合もあります。その際には、インプラントの本数を5本または6本に増やすなど、患者様の状態に合わせた設計へ変更することがあります。
これは「All-on-4」という名称であっても、あくまで治療コンセプトを示すものであり、必ずしも4本に限定されるわけではありません。

上顎洞を避けながら、斜めにインプラントを埋入します。
治療の流れ
1. 初診・カウンセリング

まずはカウンセリングを行い、オールオン4が適応かどうかを診断します。
歯科用CTで骨の量や神経・上顎洞の位置を確認し、治療計画を立てます。
2. 抜歯・骨の調整(必要な場合)

保存が難しい歯は抜歯を行います。
必要に応じて顎の骨を整え、人工歯をきれいに装着するための土台を作ります。
3. インプラント埋入手術

顎の骨にインプラントを4本(または必要本数)埋入します。
後方は斜めに埋入し、安定した骨にしっかり固定します。
4. 固定式仮歯の装着

条件が整えば、手術当日に固定式の仮歯を装着します。
その日から歯のある生活を送ることができます。
5. 術後チェック(約1~2週間後)

術後の経過を確認し、傷口やインプラントの状態をチェックします。必要に応じて仮歯の調整を行います。
6. 最終補綴(人工歯の装着)

約3~6ヶ月後、インプラントが骨と結合したことを確認します。その後、最終的な人工歯を装着します。
7. メインテナンス

治療後は3~6ヶ月ごとに定期検診を行います。
噛み合わせやインプラント周囲の健康状態を維持していきます。
オールオン4の治療全体にかかる通院回数
オールオン4では、条件が整えば手術当日に固定式の仮歯を装着できます。
ただし、治療前の診査や術後の経過確認、最終人工歯の装着までを含めると、通常は4〜6回程度の通院が必要です。
最終補綴までの期間は約3〜6ヶ月が目安となります。
骨の状態や全身状況によっては期間が前後することがあります。
治療期間の目安
手術直後は、インプラントと骨はまだ強固に結合していません。
この時期に過度な力がかかると、微小な動き(マイクロムーブメント)が生じ、骨結合が阻害されるリスクがあります。
手術当日から食事は可能ですが、術後1~2ヶ月は特に柔らかい食事を中心にしていただきます。
インプラントが骨と完全に結合するまでには約3~6ヶ月かかります。
オールオン4の治療費用
メーカー | 価格(1本あたり) |
|---|---|
ストローマン社
(Straumann) | 85,000 バーツ |
ネオデント社
(Neodent) | 65,000 バーツ |
オステム社
(Osstem) | 55,000 バーツ |
バイオテム社
(Biotem) | 49,000 バーツ |
*備考 上記の価格には精密検査費用および骨造成費用は含まれておりません。
症例によっては、必要に応じて追加費用が発生する場合がございます。
